Biography
経歴
糸かけ曼荼羅作家・尼僧・香司
幼い頃から寺に生まれ育ち、尼僧として仏教の教えや祈りのある暮らしに触れてきた。
2018年より糸かけ作家として活動を開始。
密教に伝わる両界曼荼羅の思想を背景に、糸と幾何学によって、命の循環、人と人とのご縁、宇宙の調和を表現する作品を制作している。
一本一本の糸が幾重にも重なり、円や幾何学模様を描いていくその作品には、金剛界曼荼羅が表す「智慧」と、胎蔵界曼荼羅が表す「慈悲」の思想が込められている。
また、香司としてお香の世界にも携わり、作品の中に仏教の世界観と香りを融合。
糸が生み出す色彩や造形による「視覚」と、香りによる「嗅覚」を通して、密教の奥深さや祈りの世界を五感で感じる現代仏教芸術を探究している。
妖艶でありながら気品を感じさせる色彩と、緻密に重なり合う糸が生み出す独自の作品世界を特徴とし、国内の展覧会を中心に作品を発表。
2020年にはストリングアーティストユニット「ITOXITO いとかけいと」を結成。
国立新美術館で開催される「21世紀アートボーダレス展」に継続して出展し、ユニット作品および個人作品で複数のグランプリを受賞。
Statement
制作への想い
祈りとは、日々を丁寧に生きること。
幼い頃から寺に生まれ育ち、
仏教とともにある暮らしの中で、
私は「祈り」に触れてきました。
祈りというと、
特別な場所で行う特別なもののように感じるかもしれません。
けれど私が感じている祈りとは、
今ここにあるものを大切にし、
日々を丁寧に生きること。
そのものです。
私にとって糸をかける時間もまた、
ひとつの祈りです。
一本の糸をかけ、
また一本の糸を重ねていく。
一つひとつは細く、
とても小さな存在です。けれど、たくさんの糸が重なり合ったとき、
そこには思いもよらない美しい形が現れます。
私はその一本一本の糸を、
人と人との「ご縁」のように感じています。
私たちの人生も、
一人では完成しません。
出会った人、
過ごした時間、
喜びも悲しみも、
すべてが重なり合い、
今の自分をつくっています。
曼荼羅に現れる円や幾何学もまた、
命の循環や宇宙の法則を映し出すものだと感じています。